約 717,945 件
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/110.html
295 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/06/10(木) 13 00 12 ID +txSqMCd イリュージョン1-8 その瞬間、観客の大半が「まさか」あるいは「よもや」と思ったに違いない。ここまでの人体の切断は、極めて精巧なダミー…ハリウッド映画などに使われているヤツだ…もしくは鏡や光、映像の投射などを利用したトリックとして説明できないこともない。 だが、一度バラバラになった身体…それもまだ年端もいかない女の子と成人女性の首と胴体、そして手足がシャッフルされる形で繋ぎ直されるとなれば…これは果たしてトリックといっていいものなのか? マジシャンの鳴らした指の音に反応するかのように、女性、そして女の子の瞼がゆっくりと開いた。 どよめきと歓声のかわりに、客席には息を呑む音が一斉にコダマした。 その観客の顔に浮かんでいるのは総て「まさか」と言わんばかりの驚愕の表情だ。 しかし、次の瞬間、観客達は更に驚愕の谷底へと突き落とされることになる。 分娩台に似たシートに座らされていた2人の身体… 女性に身体に女の子の頭と小さな左腕と短な脚が繋ぎあわされたものと、女の子の身体に女性の頭とすらりと伸びた左腕、そしてむっちりとした脚が繋ぎ合わされたもの、年齢の違いによる体格差故にそれぞれの肉体が混在状態のその身体は明らかに異形めいている… その身体が瞼に続いてゆっくりと動き始めたのだ。 女性と女の子、そこだけはまだ自分本来のものである左腕をゆっくりと自分の目の前にかざしてみた。 続いて、その反対側の腕…女性はすっかり短くそして小さくなった右腕とその手を、女の子はかつての倍近く長くなった右腕と細く長く伸びた指をもつ右手を目の前にかざした。 観客の驚愕に比べて、2人の顔に浮かんだ驚きの度合いは極めて小さなものだった。慣れた自分の身体…その腕の長さの違いに扱いづらさを感じてはいるようだったが、自分の身体の一部が全く別人のものとなっていることは意外なほど当然のように受け入れているかのようだった。
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/260.html
落ち着いたと思ってスレ立てしてくれた方ありがとうございました。けど、まだあの荒らしいますね。状況見て、pinkなんでも に移動もありかもしれませんね。 -- (名無しさん) 2017-01-15 21 48 19
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/14.html
48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 00 38 ID jzcP/K2L 出会いがしらに頭をゴツン! 目覚めてみればアラ不思議、ぶつかった相手と人格が入れ替わっちゃった! ……なんていう、漫画やアニメでしかお目にかかれないような現象が、わが身に降り注ぐなんて。 信じられない。 ありえない。 けれど、現実は厳然と私に事実を突きつける。 朝、遅刻しそうだった私は身支度を整えて部屋から駆け出すなり、妹の伊織とぶつかって意識を飛ばした。 そして、恐らくは一分と経たずに意識を取り戻し――自分と妹の中身が入れ替わってしまったことを知った。 何をバカな、とおっしゃる? 言いたいなら言えばいい、というか私が言いたいよ「人格交換? はぁ? 馬鹿じゃない?」ってさ。 だけど私の目には現実がくっきりと映し出されている。 ……視界の中。 尻餅をついたままこちらを見て、信じがたいとばかり目を白黒させる『私』がいる。 頬をつねってみても、この現実に終わる気配はなかった。 伊織と急遽話し合い、お互い頭突きをしてみても人格が元に戻る気配がないのを知った私たちは、このまま登校することを決めた。 両親に相談なんて論外。 姉妹そろって仲良く発狂したと思われては、父さんも母さんも自殺しかねないし。 とりあえず今日のところは学校に行って適当にやり過ごし、今後のことについては夜話し合うということにしたのだ。 幸い、私たちは家に友達を呼ぶことが多かったし、姉妹仲も良好だから互いの交友関係の概容は知っている。 「なんとかなるよ。……しようよ、ね、お姉ちゃん――じゃなかった伊織」 よく通るアルトボイスが私の鼓膜を叩く。私の、という表現が正しいのかは微妙なところだけど。 「そうね……とりあえず、学校じゃ上手くやりましょ」 そう答えると、ぴたり、と人差し指で唇を封じられた。 「違うでしょ伊織?」 ……もうなりきっている。 適応が早いというべきだろーか。 いや、それくらいの気構えは必要なのかもしれない。 私は何時もの伊織らしい柔和な笑顔を模してみせた。 「そうだね、いお、お、お姉ちゃん」 「よしよし、その調子。……ああそうだ伊織、自転車の鍵どこ?」 「私の机の上」 私こと水寺真姫と妹の伊織は違う高校に通っている。 成績で言えば伊織の高校の方がランクは上で、距離で言えば私の高校の方が遠い。 ……アホだとわざわざ遠い低ランク高に通わないといけないのは悲しい現実だ。 いつもより低い位置で固定された視界に戸惑いを覚えつつ、階段を下る。 「それじゃ、行ってくるね、おかあさん」 いってらっしゃーい、という返事が来るのに小さくガッツポーズ。伊織らしく行ってきますを言えたみたいだ。 玄関を出ると秋の澄み切った青空と、清らかな朝日が網膜をつついた。 何も変わらない空。 物理法則を超越する勢いで変わった私。 ……嘆息を禁じえない。 玄関脇の自転車に向かいそうになる足を修正し、門扉を押して家を出た。 49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 01 09 ID jzcP/K2L 途端、 「おはよ、伊織ちゃん」 穏やかな声が名前を呼んだ。 反応が遅れたのは、やはりまだ慣れないために、自分が呼ばれたのだと自覚できなかったためというのもある。 だけどそれ以上に影響したのは、私はどうしてこんな重大なことを忘れていたのか! という驚愕だ。 私も伊織も、彼氏いるんですけど! しかも伊織の恋人は――私にとっても伊織にとっても幼馴染であるのだ! やべえバレるとしたら確実にこいつからだ! 私は油をさしていない機械みたいにぎこちなく首を回し、その間に全力で『伊織っぽい笑顔』を構築した。 そして言う。 「うん、おはよう。夕平……げふんげふん、ゆー兄さん♪」 視界の中で、妹の恋人が平和そうに微笑している。 日高夕平――私にとってはただの幼馴染、伊織にとっては幼馴染、プラス恋人。 中肉中背で容姿はまあ、男らしい男が好きな私からしてもそんなに悪くはないと思う。 伊織が言うには、成績は毎度学年トップクラスだとか。私と同学年だったときもそんなだったなあ。 運動の方はからっきし。 性格のほうは何となく油断ならないと感じられるときもあるけど、概して温厚。 私に評させれば、いい奴だけど柔弱。 恋人にするには値しない。 やっぱ男は体育会系の、男らしい奴じゃないとね。私の彼氏、一久みたいにさ。 だけど伊織に言わせれば、『ゆー兄さんは私の世界そのものなのー』なのだそうだ。 まあ、好みは人それぞれ。口を出すような筋のことではないけれど。 うーん、それにしても、今日は大変だな。不審に思われないよう注意しないと。 ――そんな風に、一瞬思考でトリップしてしまったからだろう。 気づくと夕平の顔がアップになっていて、私は思わず後ずさってしまった。 「伊織ちゃん?」 戸惑ったように言う夕平は、姿勢を少し低くしていて、右手が上がっている。 ……もしかして、撫でようとした? ううん、私にとっては受け付けない行為だけれども、そういえば伊織は夕平に撫でられるのが大好きなんだった。 付き合ってるのに、まだ前みたいな兄妹気分が少し抜けていないとこがあるのよね、伊織は。 ともあれ、朝っぱらから怪しまれるのは宜しくない。私は全力で柔らかく笑ってみせた。 「あ、ううん、何でもないんだよ。ちょっと考え事してたから、びっくりしちゃっただけ」 「そう? ならいいけど……言える悩みなら、いつでも僕も聞くからね?」 恋人っぽい言動。 当たり前だけど私はそんな言葉を夕平から向けられた経験はないから、少し妙な気分になる。 と、ちょっと奇妙な心境になっていると、背後から「行ってきまーす!」という威勢のいい声が聞こえてきた。 私だ。……違った、伊織だ。 伊織は自転車を引いて私の脇を軽快にすり抜けて道路に出、自転車に跨ると、夕平の方を向いた。 「おはよう、真姫」 穏やかな挨拶を受けて、私の、真姫の肉体はピッ、と右手を軽く上げた。 「よっす夕平。伊織のこと、ちゃーんと送っていってよね?」 夕平は微笑し、ちょっと気取った様子で胸に手を当てた。 「心得てますよ、姉君」 「いい返事だ」 伊織はカラッと笑うと、勢いよくペダルを漕ぎ出した。 50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 01 55 ID jzcP/K2L 「んじゃ伊織も気をつけるのよ! 行ってきまーす!」 私の肉体を駆る伊織は、ぐんぐんと遠ざかっていった。 伊織の肉体の運動能力は低い。ある意味夕平とはお似合いな感じに。 だからこの機会を使って存分に体を動かしてみようと伊織は考えたのか、自転車に乗る姿はどこか生き生きして見えた。 夕平は苦笑して、「真姫はいつも元気いいねえ」とコメント。 ……あれ? 全然怪しんでないよ。 伊織のやつ、実は演技派? 図書委員で文芸部という私の妹に、隠された才能が? また思考の渦に落ち込みそうになる私は、 「それじゃ、行こうか伊織ちゃん」 という夕平の言葉で思考を現実に復帰させた。 「うんっ」 弾むように言って、妹の恋人の横に並んで歩き出す。 穏やかに笑う夕平とは裏腹に、私は今日学校で味わうであろう心労を想像して、こっそりとため息をついた。 おはよう、と教室のドアを開けたときから私の戦いは始まった。 まず自分の座るべき席をさりげなく探るところから始まり、伊織の友達との会話、昼食などなど…… 誰かと話さなくても済む授業の時間だけが救いだった。 普段はかったるくて、遅々として進まない時計の針に気をもむだけだったこの時間が、こんなにありがたいと思える日があるなんて。 ……にしても、伊織は一つ先の学年の授業なんて受けて大丈夫なんだろうか。 私と違っておつむに刻まれた知性の回路は精緻だけど、全然習ったことのない内容を理解するのは無理だろうな。 いくらここよりランクが下の高校だって、学年の壁は厚いだろうし。 反面私のほうはというと、さすがに以前自分が習った部分を聞かされるだけなので、さしたる苦労はなかった。 姉のほうが楽な身分ってのも何だかなー。 などと考えているうちに、ようやく一日の終わりを告げるチャイムが鳴った。 個性のない無機的な音が、今日ばっかりは天使のラッパに聞こえた。 ほぼ未知の人間関係の中で、綱渡りするみたいに関係性を測って応対していく精神的負担と来たら! 普段ならここで「はああああああああ」と、でっかく溜息をつくところだけど、伊織はそんなことしない。 するなら家に帰ってから、だ。 ホームルームが終わると、私はカバンに荷物を手早く詰めて席を立った。 「わたし、今日はもう帰るね。亜子、ちぃちゃん、なつめ、バイバイ」 にっこり笑顔で手を振る。 よく我が家に遊びに来る、私――真姫とも顔見知りである、亜子ちゃんがにまーっと笑った。 「ういうい。まーた、日高先輩と下校ですかー」 うんうんと頷き、 「セーシュンだなあ。あたしも彼氏欲しいわマジで。ある日突然空から降ってこないかなあ」 ちぃちゃん……もとい、私にとっても初見だった、仲原千里ちゃんがそれを受けて、 「そういう漫画なら沢山あるから貸してあげるよ? どれがいい? 目録でも渡す?」 と眼鏡のレンズを光らせた。 どうやら彼女、女版のオタクのようだ。 なかなか伊織も面白い子たちと付き合っている。 正直ひとつひとつの会話自体が気が気でなかったとはいえ、この子たちとのお喋りは結構楽しかった。 伊織はやや内気な子だけど、学校では上手くやっているみたいだ。 51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 02 27 ID jzcP/K2L 私は姉らしい感情を覚えつつ、妹の友人たちに改めて別れを告げ、教室を出た。 部活に向かう生徒、家に帰る生徒たちの生み出す喧騒の中、場違いな私は心中で縮こまりつつ昇降口を目指した。 伊織の所属する文芸部は不定期に開かれるようで、その辺は都合がよかった。 「さて、と」 こっそりと呟く。 昇降口で靴を履き替え、外に出ると、家路につく生徒たちの背が連なるなかに、こちら側を見ている人間がひとり。 「またまた試練ね……」 要注意リスト上位である幼馴染、日高夕平。 わたしは伊織っぽく微笑んで、ゆー兄さん、待った? と愛らしく尋ねてみせた。 「ん、大したことないよ」 気の抜けるような笑顔で夕平は応じる。 定型句なのか、本当に今来たところか……その辺はよく分からない。 悪いやつではないと思うんだけど、私は夕平の、本音を見透かせない感じが昔から少しだけ苦手だった。 妹の恋人であるのだから、間違っても変な対応は出来ないけれど。 伊織と夕平の間に禍根を生むようなことは絶対避けたいし、それに付き合いが長いだけに、妙な行動はすぐ不審を買うだろうし。 とはいえ、付き合いの長さは私にとっては不幸中の幸いでもある。 私との関係が薄い伊織の友達とは違って、夕平の伊織の関係については前から目にしていて情報もある。 夕平の人となりも大体把握してるから、対応のしようもあるしね。 条件は決して悪くない。勝てない勝負ではない――。 ――って。 帰り道ひとつで戦争かよ。 私、いつになったらこんな罰ゲームみたいな状況から解放されるんだろ……。 「――はぁ」 「?」 「あ、ううん、ちょっと今日体育で疲れちゃって」 溜息をついた私に目をやった夕平に、すぐさまフォローを入れる。 伊織と同じく運動音痴であるコイツは、ああうん体育か、なら仕方ないよなあと頷き、 ぽん、と私の頭に手のひらをのせた。 よしよし、とばかりに優しく撫でる。 「がんばったね」 ……調子狂うこと甚だしい。 私は帰途のことを考えて重くなる胃のことを必死で隠しながら、エヘヘ恥ずかしいよ、ゆー兄さん――とはにかんでみた。 予想通りに帰り道は胃袋殺しだったけど、私はどうにか家のそばまで来ていた。 隣を歩く夕平に私を疑う様子はない。 見た感じ、いつも通りだ。 あと百メートルくらいで、私はとうとう安息の城への帰還を果たす。 ……母さんたちもいるけど、部屋にこもって負担を減らそう、うん。 伊織は自分の部屋に居ることが殆どだったし。多分、読書でもしていたんだろうね。 そんな風に、私が早くも帰宅後の算段をしていると。 「ねえ伊織ちゃん」と夕平が足を止めた。 夕平の家――日高家の直前だった。 私も流石に慣れてきていて、 「どしたの?」 と、同調して止まる。 52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 03 02 ID jzcP/K2L 夕平は、頭ひとつ低い私――伊織の目を覗き込むようにすると、 「うん。……今日も、うち誰もいないんだけどさ」 と言った。 「――――――」 私の思考に大いなる空白が訪れた。 数瞬して、再起動を果たした私の頭脳は一発で恐慌に叩き込まれた。 そう! そうなのよ! 何で私はこんな簡単なこと忘れていたんだろ!? 伊織と夕平は恋人で、恋人ってのはつまりその、そういうことだって当然してるわけで! あまり深く考えたことはなかった。 というか、近しい二人同士の交わりというものを想像することを、無意識に避けていたのかもしれない。 いやそれにしても! つーかアレ!? もしかして伊織も一久からそういうお誘い受けてたりするッ!? いやいや思考が脱線してる、今はここをなんとか凌ぐことを考えないと! 私のあまり高性能ではないCPUがガチャガチャ音を立てて稼動した。 一瞬、大宇宙や素粒子の世界が見えそうなほどに私の思考は展開、縮小した。 そして最後。シンプルながらも有効であろう対策を思いつく。 生理! これだね! 思い立ったら即実行、私は表情筋を駆使して困った顔を作り、たいそう申し訳なさそうに、 「あのね、わたし今日は――」 生理なの、というより早く、 「生理なら終わってるし問題ないよね?」 と夕平が人畜無害な笑顔を浮かべた。 つーか何でアンタが把握してるの!? とよっぽど叫びたかったけど、私は渾身の一策が戦果ナシで散ったことに衝撃を受け、口にはできなかった。 「最近試験とかあって出来なかったし、ちょっと情けないけど、我慢できないんだ」 流石に恥ずかしそうに夕平は頬を掻いた。 ……どうしよう。いい断り文句が思いつかない。 無碍に拒絶するのは簡単だけど、それで万が一この関係にヒビが入る一因となったらどうする。 私に責任は取れない。 ひとの恋人関係を破壊するなんて、私がやっていいことじゃないでしょう。 思案しかねて、私は結局、 「……うん」 と、恥ずかしそうに頷いた。 中身はかなりのヤケクソ状態ですけど。 ほら、まあ、一回、一回だけだし! 明日になったら元に戻れるかもしれないし! さすがにこんな希望的観測は自分でも信じがたいけど! 一久には――申し訳ないけれど。 それに、と私は目の前の背中を見つめた。 自宅の二階への階段を上る夕平は、多少高揚してるように見えた。 ……夕平のセックスなんて、たかが知れてるよね。 少し侮るように、私は予測した。 おとなしい夕平とおとなしい伊織の交わり。 多分きっと、二人に相応しいような、穏やかなものだろう。 さっさと夕平に出させちゃえば、それでお終い。 うん。何も問題はない。 だって夕平、ねちっこく責めるとか激しく攻めるとか、そういうのとは無関係そうだしね。 53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 03 35 ID jzcP/K2L どこかから、やっぱりな、という突っ込みが飛んできそうだ。 ……私の予想は完全に外れていた。 「んっ……くぅ、ふぅ、ぁ」 声が漏れてしまう。屈辱だ。 夕平は何とも、ゆったりと事を運ぶタイプだった。 一久とのセックスだったら、もう挿入に移っててもおかしくないくらいの時間だけど、わたしは殆ど服を脱いでもいない。 ブレザーを脱いだ。 シャツの真ん中あたりのボタンを外して、伊織らしい子供っぽいブラを露出した。 ブラの右側がずり下げられて、形のいい丸い丘をあらわにさせられた。 それだけ。 ベッドに転がった私の上にかぶさる夕平は、丹念に胸をいじめている。 胸の左側、まだシャツに包まれているほうは服の上からじっくり揉みほぐす。 右、ブラをずらされた方は、小さくて桃色の乳首に吸い付いて、ちろちろと舐めている。 「あ、んん……」 ゆっくりとしつこい愛撫。 左手が動き、布越しに乳首を指でこすった。 もどかしい刺激が送られる。 (っていうか……舌の動きがっ) 乳輪をなぞるようにしたかと思うと、蛇みたいに乳首に絡みつき、先端をほじるように突く。 「あ、あ、う、きゃっ」 断続的に声を漏らしていると、ふと夕平が口を離した。 微笑んで訊いてくる。 「気持ちいい?」 問う間も、指はころころと乳首を転がしていた。 私は思わず頷いてしまった。 「う、うん、いいよぉ」 ショックだった。自然に出てきた言葉だった。 ……一久を裏切ったみたいだ――。 夕平は楽しそうに頷くと、 「じゃ、いつもみたいに胸で一回イッておこうか」 と宣言した。 すぐに責めを再開する。 それは随分と巧みで、ショックを受けた私の頭は、すぐ桃色の靄で包まれた。 太ももの付け根、その奥が疼きだすのがわかる。 伊織の肉体は愛撫に敏感に反応し、さっきからずっとジュースを漏らしている。 「は、あ、ああん……いいよう、ゆーにいさん……」 悶えてしまう。どうしようもない。 気を良くしたみたいに夕兵は乳首をなぶり、ひっかき、さらに責めを重ねた。 そのうち、だんだん胸の奥から妙な熱が湧き、ついには胸の先に届き、そこでもどんどん膨らんでいく。 (やっ……私、これじゃイッちゃ……) 思った瞬間、乳首が少し強めに噛まれた。 甘い電気が脳みそを走った。 「は、ひゃ。いっちゃぁ!」 びくんと体が跳ねた。 腰がぴくぴく震えた。 どろ、と穴が欲望の液体を吐き出す。 もう、パンツにはすっかり染みができてしまっている。 54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 04 06 ID jzcP/K2L 「ふふ」 イッたね――と、身を起こした夕平はくりくりと乳首を指で弄った。 そのたび私は腰を小さく跳ねさせた。 結果に満足したのか、夕平は次の場所に移る。 それは勿論、下。 スカートを無造作にめくりあげ、青と白のストライプのパンツのクロッチを観察し、唇の端を上げる。 「すごいシミだね」 「や、言っちゃやぁ……」 私はどうにか芝居を継続した。私ならもっと乱暴に、「うるさいよ」とか言ってしまうだろうけど、伊織はそうではないと思う。 けど、予想に反して夕平は目をぱちくりさせた。 「……伊織ちゃん?」 今の対応、ヘンだった? 私はほんの少し焦り、しかしそれは表に出さず、 「なぁに?」と聞き返した。 さほど気にしたわけでは無かったのか、 「いや、なんでもないよ」 と、夕平は誤魔化すみたいに笑った。 身をかがめ、責めを再開する。 どうやら、はいたままが好みらしい。 夕平はパンツの上から、割れ目をついついとなぞり、時々入り口のところをぎゅっと押した。 「ふぁ、あああ」 私はそのたび、面白いように声を上げてしまう。 なんだか少し嫌な話だけど、伊織はよっぽど開発されたみたいだ。 ちょっとの刺激でも、理性が軋むみたいな快感が生まれてくる。 ……そんなだから、パンツ越しにクリトリスを摘まれたときは、 「はっひゃあああああああん!」 簡単に、私は叫び声を上げてしまった。 どうしよう、すごい。 すごい……。 夕平は下着越しにクリトリスを撫でだすけど、それだけでも、おマメがどんどん勃起してくるのが分かる。 どんどんエッチな膨らみが、しましまのパンツに生まれていく……。 「ふふ、相変わらずすぐ勃っちゃうんだなあ、伊織ちゃんのクリは」 からかうような言葉に、わたしは思わず目を腕で隠して横を見た。 演技じゃなかった。 実際に恥ずかしかった。 でもそれは、夕平に違和感を与えてしまったみたいだ。 夕平は手を止めた。 「……ねえ、伊織ちゃん」 気遣わしげに、 「今日何かあった? それとも、僕としたくない?」 少し不安の滲む声だった。 それを聞き、私は確信する。 普段の伊織は、もっと積極的なんだ。 妹の知らなくても良いような一面を知ったのは愉快じゃないけど、ここでは重要だ。 このままここで、したくないと答えれば夕平は手を止めるだろう。 夕平も伊織のことが好きなのだから、無茶なことは言わない。 だけどそれじゃ、当初の目的は達成できない。 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 04 37 ID jzcP/K2L 私は腕を外して夕平を見た。安心させるように心がけて微笑む。 「そんなことないよ。久しぶりで、ちょっと恥ずかしかっただけ」 それで夕平はとりあえず納得したらしい。 胸をなでおろしたように、 「そっか。えー、じゃ、続けても大丈夫?」と問いかけてくる。 「うん、もっと気持ちよくして?」 私は両手を広げた。迎え入れるみたいに。 こいつに与えられる快楽に期待したわけじゃ、ない。 夕平がベルトを外し、制服のズボン、トランクスと脱ぎ捨てた。 私は身をこわばらせた。 血液が巡り、鋼鉄の棒みたいになった夕平のそれは、とても大きかった。 ガチガチになって、腹まで反り返っていて、赤黒い亀頭はものすごいエラを張っていた。 私をいじめていた時から興奮していたのか、先端は分泌液でぬらぬら光っている。 (……どうしよう、一久のより、全然おっきい) ごくり、と唾を飲む。 あんなの入れられたら……どれくらいキモチいいだろう。 ――って、違うよ私っ! なに、なにを考えているの。 まるであれに突かれるのを期待しているみたいなことを考えるなんて、絶対いけない。 私には一久という彼氏が居るんだ。 そして私は、犯してもらえるなら誰でもいいなんて言うような、いやらしい女では断じてない。 セックス自体そんな好きなわけじゃない、一久とのセックスでだって滅多にイカないんだし。 だから、期待なんて、ありえない。 あってはならない。 「久しぶりだし、今日はフェラしてもらわなくていいよ。濡れてるから、準備ももういいっぽいね」 夕平は言う。 伊織、これを咥えて、しゃぶってるんだ……。 きゅん、と甘い疼きがあそこの奥で生まれる。 だから、ダメだってば。 「それじゃ伊織ちゃん」 夕平は私の前に膝を突いた。 というかコイツは着衣のままするつもりなのか。 変態め、いつかからかってやる、と私は冗談を考えて、今の状況については深く考えるのを避けようとする。 けど、こいつは私のそんな努力を打ち砕く発言を繰り出す。 「いつもみたいに、やらしくおねだりしてよ」 夕平の顔には情欲の火が見られるけど、それだけ。 平然としている。 特別卑猥なことを頼んでみた、という感じの興奮はない。 今の言葉もごくあっさりと放たれた。 それだけ……夕平にとっては当然の発言ということだ。日常な訳だ。 (ひとの妹に何させてんのよ! このムッツリが!) 怒りで性欲が少し減退する。好都合だ。 まったく、人畜無害っぽい面をしているのに、こいつの性根はなかなかどうしてキてるじゃないの。 伊織が好きになってくれなきゃ性犯罪に走ってたんじゃないの? ふん。 ……けど、おねだり自体は……しなきゃいけない。 そういう流れだ。 覚悟を決めろ、私。 56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 05 44 ID Xr5Npkqa 頭の中で精一杯いやらしい仕草と文句を考え、検討し、決断する。 私はびちょびちょになったパンツをそっとずらした。 あそこが空気に触れる。 ぴんぴんに勃起したクリトリスが、外気で気持ちよさそうに震えるのに赤面しながらも、口上を並べた。 「ゆー兄さん、久しぶりに気持ちよくしてもらって、わたしのおまんこはドロドロです。 ゆー兄さんのおちんぽを入れてもらいたくてひくひくしてます。 立派なおちんちんで、伊織を気持ちよくして、兄さん?」 そして、空いた手であそこの花弁に指を添え、開く。 ぱっくりと、粘液にまみれたピンクの穴が晒された。 ……これは恥ずかしすぎる。 怪しまれないように、懸命に考えた台詞だけど。 ここまでいやらしいと、逆にダメだったりしないだろうか? そんな感じで、私が羞恥と不安の板ばさみになってると、夕平がいざって、私の腿を左右に大きく開いた。 身を乗り出して、私の頭、耳のそばをそっと撫でた。 「いつもよりちょっと大人しいね。久しぶりで恥ずかしいんだから、仕方ないけどね」 普段これより過激なの!? パネー、夕平さんマジパネーっす。 私は少々呆れた気分になる。 さっきまでの興奮はだいぶ冷めていた。 この分なら、みっともなくよがるような醜態は避けられるだろうなー。 などと考えているうち、夕平は自分のものを手で調節して、私の穴にあてがった。 「それじゃ、行くよ」 「うん……来て」 私は順当に応じた。 次の瞬間、 ずん。 と巨大な衝撃が私を貫いた。 勢いよく埋め込まれた夕平のそれは、ずりゅずりゅと膣の中を突き進み、一発で私の子宮に抉りこんでいた。 脳みそが、 ばかに、なる。 「あっへえええええええっ!」 間抜けな絶頂の声が部屋に響いた。 気分が冷めかかっているなんて些細なことだった。 私は知った。 この、伊織の肉体は、夕平のちんぽに屈服しきっている。 何度も何度も貫かれて、完全に夕平のしもべになっている……そんな事実を。 「やっぱり、久しぶりだと気持ちいいな。……伊織ちゃんは、どう?」 ほっぺたに夕平の手のひらが触れた。 やめ、て。 犯しながら、優しくするなんて。 私の心が、あんたを認めちゃう……。 「さい、こう……だよ、ゆーにいさん。すごい、ちんぽ、すごい」 口は自然に快感を訴えた。 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 06 15 ID Xr5Npkqa 私の頭は早くも朦朧としつつあって――ほんの僅か、夕平が疑念に眉をひそめたのを見逃した。 「……それじゃ、続けるよ」 「う、うん、もっと、もっと乱暴にして」 なに言ってるんだろ、私。 今の、完全に、一久への、裏ぎ―― ――ずん。 「ひはあっ!」 思考が千切れる。 一突きごとに、私はどんどん人間からメスへと堕落していく。 ずるずるともぐりこんでは引き出されていく、それ。 エラの張った亀頭は、やわらかいお肉を引っ張り出すみたいに削っていく。 こそげる。 ヒダヒダが物凄い勢いでこすられる。 「んいいっ! あはぁ! いいよ兄さんっ! すごい、すごいすごひ!」 すごいすごいすごい! セックスってこんなに気持ちいいんだ! 知らなかった! 「らめ、りゃめっ、また、またイクッ、いくのぉ!」 「いいよ、沢山気持ちよくなって!」 びくびくびく、と痙攣。 これが本当の、ほんもののセックス―― 一久としてきたのなんて、オママゴトだったんだ! 今までの私がばかみたい! 「いぐ、まらイグ、わたひ、おかしくっ!」 ずんずんずん。 突かれまくってわたしは狂う。 いつの間にか私は、夕平にあわせて腰を振っていた。 ぐじゅぐじゅと、粘膜の擦れる音が部屋を支配した。 ぞりりりりり、と。 まんこの天井側の一部をちんぽが通過した。 瞬間。 「んほおっ! なんかぁ、なんか出ちゃ、」 ぶしっ。 透明な汁を私は噴き出して悶絶した。おしっこ、なの? 「はは、伊織ちゃん、潮まで吹いて、絶好調、だね!」 やや息を切らしながら夕平が言う。 しお……? しってるけど、いままで吹いたことなんて、ないよ…… あーあ。 一久、ばかだな。 さいしょにわたしに潮吹かせたの、あんたじゃないよ。 これは、伊織のからだだけど……だとしても。 あんたのちんぽ、こんなすごくないし。 むり、むり。 58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 06 51 ID Xr5Npkqa 「いぐ! いぐのとまんないっっ!」 すごいよ! ゆーへー、あんたのちんぽ、すごひっ! 「子宮きもちいい! にいさ、もっと、もっどゴヅゴヅほじっへえええええええええええっ♪」 こんなとこ、かずひさのちんぽ、いちどもあたらなかった! ずるいよ、いおり、ずるい! わたしにかくれて、いつもゆーへーに、ちょうきょうしてもらってたんだぁっ! ひどい、わたしは、ほとんどイッたこともないのに、いつもこんなにイキまくってたんだぁっ! こんなすごいちんぽで、たくさんほじってもらってっ! 「はへ、はへ、はへ、はへぇ♪」 わたしは、かずひさの、粗チンなんかで、しょじょ、なくしちゃってぇ! しょじょなくすなら、このちんぽのほうがよかったぁ! 「ちんぽしゅごい、しゅご、また、あ、またっ、うううううううううううううううっ♪」 ははっ、と笑うゆーへー。 「調子出てきたねっ、伊織、ちゃん! 僕も犯しがいがある!」 あ、いおり、いつもこうなんだ。 だよね。 こんなすごいのにおかされたら、おんななら……みんなこうなっちゃう。 こんなきもちいいの、はじめてだよ♪ 「セックスすき! すき! せっくすすきっ!」 でも、かずひさとするのは、すきじゃない! きもちよくない! これがほんもの! ほんもののせっくす! 「へえ、セックス好きなんだ」 「うん、だぁいすきぃ!」 「それじゃ、僕の、チンポはっ!?」 どすん。 「すきなのおおおおおおおお! ひぐううううううううううううう!」 きゅんきゅんする! まんこ、すごくきゅんきゅんする! おんなのこなら、みんなこれすきになる! さみしいなあ、とゆーへーは言う。 「僕は伊織ちゃんのこと大好きなのに、伊織ちゃんはチンコ好きなだけなのかい!?」 えと、それは、 「好きだよ、伊織ちゃん」 ゆーへーは、やさしくわらった。 「伊織ちゃんは、どーなのさっ!?」 ずん。ごりっ。 「きひゃああああああん!」 あ、あ、わたし、私はっ――! (やっぱり、かずひさが……っ) クリティカルな問いに、私の頭がすこしマトモになる。 夕平は伊織に問いかけてるつもりなんだから、この発言はどこまでも自然なだけだ。 でも私は、どこまで行っても正体は水寺真姫なんだ。 いくら伊織を装ってるからって、ここで夕平に愛を誓うのは…… さんざん夕平のちんぽにイカされて、もう裏切りも何もないのかもしれないけど。 59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 07 29 ID Xr5Npkqa でも、 ドスン。 「んふううううううう!」 「どうなのさ!?」 こ、こころ、心はやっぱり、一久のモノでいたい。 同じクラスになって、同じ委員会になって……。 最初は友達で、でも、私はあいつが好きになって、言えなくて、告白されたときは、泣くほど嬉しくて……。 『あのさ、水寺、その、俺な』 ドキドキしていたのを今も覚えている。 誰も居なくなった教室に呼ばれて。 もしかして、という期待が胸いっぱいになって。 『お前のこと――』 それを聞いたとき、いきなり現実感がなくなった。 何度も想像したことが、急にリアルになったから。 白昼夢でも、見てるかと思った。 でも、それはやっぱり現実で。 夢みたいな、夢じゃない、夢より嬉しい現実で―――― 『好きみたいなんだわ。だから、』 私は真っ赤だった、一久も真っ赤だった。 あいつは今も軽い調子でよく言う、愛してるって。 だから、 『だから、』 私は、 『お前に――』 あいつを、 『付き合って、ほしいんだよ』 裏切ら、 ずドんッッ。 「伊織ちゃん! どーなのさッッ!?」 「ゆーへーが、すきですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」 ――あは。 あはは。 いっちゃった。 イッて、言っちゃった。 「すきなの、ゆーにいさんがすきです! だいすき! あいしてましゅぅ!」 「……あ、ああ、嬉しいね!」 ……どかん。 「きもちいい、きもちいいよう!」 あはは、わたし……ねとられちゃった。 かずひさより、ちんぽがすきになっちゃった。 「すき、たくましい、ちんぽすき! ゆーにいさんもだいすきっ!」 かずひさがいけないんだ。 ゆーへーみたいに、わたしをきもちよくできないから。 しきゅーをガヅガヅえぐれないから、わたしダメになっちゃったんだよ。 60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 07 59 ID Xr5Npkqa 「ひいいいい! もっと、もっとぉ! わたし、にーさんのオナホールにしてぇ!」 「してあげるよ! ……伊織ちゃんが望むならね」 オナホール…… かんがえただけで、こーふんするッ! ああ、ちんぽちんぽちんぽ! かずひさみたいな、ちっちゃくて、ソーローのじゃない、これがほんものの……ちんぽ! ゆーへーさいこう! だいすき! わたしを、どれいに、どれいに! 「出るよ、伊織ちゃん、そろそろ!」 「だして、わたしのなか、ざーめんでパンパンにしてぇ!」 しきゅーが、下がる。 ざーめんゴクゴクのみたくて、さがる。 「いおり、ちゃん……イクよっ!」 ドズン。 「はがああああああああっ! すごいのくるうううううう!」 でた。 あついのが、しきゅーのなかに、まきちらされた。 なかだし、きもち よすぎる♪ 「とける、しきゅう、とけちゃうううううううううううううううううううううう!」 しあわせ。 このちんぽだけあれば、わたし、しあわせ……♪ 「……ふぅ」 だしおわると、ゆーへーはちんぽを抜いた。 にゅるるるる、と抜けていく感触で、わたしはまた、しおをふいた。 だいぶ、つかれた。 でももう、終わり…… じゃなかった。 「さ、もっかい行こうか、伊織ちゃん」 夕平は当たり前のように言って、私をころんとうつ伏せにした。 そしてお尻だけを持ち上げれば、夕平に向けてお尻を突き出す女の完成。 まだするの? でも、今の口ぶりからして、何回もするのは日常みたい。 じゃあ――それに付き合わないのは、ヘンだよね――。 私は口元がほころぶのを自覚しながら、両方の手を後ろにやった。 まんこをくぱっと開く。 どろりとザーメンがたれて、太ももを流れるのさえ気持ちいい。 「うん…… 私のメスマンコ、もっともっと、犯して……♪」 たのしみ。 わたし、これから、何回イカされるのかな……♪ 61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 01 08 50 ID Xr5Npkqa 結局あの後、3回した。 私は数え切れないくらいイッて、その間に何度も夕平に愛を叫んだ。 だらしなく喘いで、卑語を垂れ流した。 バカだ、私。 冷めた頭の中に、後悔が満ち溢れる。 一時の肉欲に流されて、好きな人を完全に裏切ったんだ。 ……私が家に戻ると、すでに私の肉体を借りた伊織は帰宅していた。 伊織は私を見るとすぐに事態を察知したようで、「ごめんね、ゆー兄さんが……」と手を合わせた。 そして、自分も一久と致してしまったと小声で白状し、謝られた。 伊織は実際、申し訳なさそうではあったけれど、まとう雰囲気に、 『大したことなかったな、お姉ちゃんの彼氏』 というニュアンスがはっきり存在した。 仕方ないと思う。 あいつは前戯をあまりしないし、下のほうも、夕平に比べれば……認めるしかない、粗末すぎる。 夕平とのセックスに慣れた伊織にとっては、不満足もいいところだろう。 肉欲だけで夕平に愛を叫んだ私と違って、伊織はあいつのことを心でも想っている。 肉体と精神の両面を満足させられてるんだから、一久とのセックスなんて、退屈なだけだったに違いない。 それでも一久は、私にとっては一番大切な存在なんだ。 それは絶対、そうなんだ。 「ごめん、疲れたからちょっと寝てくるね」 夕食まで時間が有ったから、わたしはそう言って伊織に背を向けた。 「そうね、夕平のは初めてだと疲れるものね。ちゃんと休みなさい」 お母さんが傍を通った途端、伊織は姉の性格を装って言ってみせた。 本当、演技派で困る。 私は苦笑しつつ、伊織の部屋に入り、下着を替えてベッドに寝転がった。 姿勢が変わったからか、ぷぢゅ、と音がして、わたしのあそこから精液が漏れた。 一久、ごめんなさい。 謝っても謝りきれないけれど……。 声が聞きたい。一久の声が。 でも、今の私は伊織だから、そんなこともできない。 もどかしくて仕方ない。 思い煩うのも一時のこと。 心身の疲労が噴き出して、私はすぐに眠りに落ちた。 そしてセックスの夢を見た。 私は夢幻の世界で、夕平に犯されて動物みたいに喘いでいた。 しばらくして目覚めた私は、またびちょびちょになった下着を見ることとなった。 物凄く情けなくて悲しかったけど、とても興奮して、オナニーして、潮を吹いてイッた。 「夕平、すごいよ夕平のちんぽすごすぎるよぉ……」 ……さっきまでの情事を、妄想しながら。
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/146.html
515 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/09/18(土) 20 20 10 ID A2YAi/a8 Be もうひとつSSです。乱文ですがどうぞお付き合いください。 「くらげ」 気が付くと真奈美は見慣れない畳の一室に敷かれた寝床に横になっていた。 身体全体が熱を帯びていて、びりびりとした鈍痛が手足の先に感じられていた。全身に濡 れたタオルのようなものが押し当てられていて、それで冷やされているようだった。 「あら、気が付いたのね」 穏やかな中年女性の声がした。 「うっ……うん、ここ、どこ?」 水際で軽く泳いでみようとした矢先になにかに刺された記憶はあったのだが、そこまでだ った。後の記憶は一切残っていない。 「お嬢ちゃん、あなたね、クラゲに刺されてしまって気を失ってしまったのよ」 ああ、そうか、と真奈美は自らの失われた記憶を繋ぎ合わせた。 高校生活での最後の夏休みを過ごそうと、都心から離れたこの海岸へとやってきた真奈美 だったが、楽しい思い出づくりのはずが、とんだハプニングである。 立ち泳ぎをしていた自分の四方から音も無くゆらゆらと近づいてくる半透明の一群に襲わ れて、彼女は意識を失ったのだった。 「ねえ、あなたのお名前、真奈美ちゃんって言うのよね、お友達から聞いたわ」 女性は真奈美の額のタオルを外すと、話しかけていた。 「ええ、それで……ミホたちはどこですか?」 真奈美の視界の中に映っていたのは四十くらいの年齢のやや肥満気味の女性だった。温和 そうな目元に落ち着いた物腰で、見る者に安心感を与える容姿だった。 「うん、彼女たちには先に帰ってもらったわ。あなたの手当には時間がかかると思ったから」 とは言え、日はまだ高いうちにある。 「えっ、でも、まだ昼過ぎごろですよね」 真奈美は少し不審げに尋ねた。 「ええ、そう。だけどあなたが刺されたのから二日後の、ね」 女性はおだやかな口調で諭すように言った。 「そんな……あの、クラゲってそんなにひどく刺すものなんですか?」 真奈美は彼女自身の全身をきっちりと包んでいるガーゼに目を配ってから、女性に尋ねた。 「ええ、そうね。ちょっとこの辺りでも珍しいヤツでね、ギゼンヤコウエボシっていう猛毒 を持った種類なのよ。刺され方によっては死んでしまうことだってあるほどなのよ」 死ぬ、という言葉を突きつけられて、真奈美はびくん、と身を固くしてしまった。すると 女性は表情を少しだけ緩めて、 「ああ、でも大丈夫よ。私、ユウコっていうんだけど、これでも医者の端くれでね、一応の 解毒処理はしておいたから、だからそこまでの心配はいらないわ」 女性が医者だとわかって、真奈美はほっと息を吐く。だが、彼女に向ってさらにユウコが 続けるのは、 「……でもね、あなたにはかなりショックかもしれないけれど、だけど現実は受け入れても らわなければならないわ」 眉間にぎゅっと皺を寄せて、同情の意味を言葉に孕ませながら、ユウコは真奈美の目を見 つめた。 「現実……って、なんですか、それ」 その言葉に直接答えることはなく、ユウコは真奈美の腕を覆っていたガーゼのテープを外 してそれらを露わにした。 「辛いだろうけど、あまり心を揺らさないようにね」 するすると巻き付けられていたガーゼの下から現れたのは、締まりなく弛んだ二の腕と、 そこから繋がるぱんぱんに膨れた手の甲と、そして芋虫のような太い指だった。 真奈美はよく事態が飲み込めずに、少しの間、ぽかんとしてしまった。 その間にもユウコはガーゼを外す作業を続けていた。 肉割れを起こしつつあるむっちりとした足が両方現れ、そして臀部のだらしなく垂れた肉 が、腰部のぼっこりと段を作る弛みが、そして重力に完全に敗北している胸の膨らみが、じ ょじょに現れるうちに真奈美の顔色はさあっ、と真っ青になっていく。 「あわわ、何、何、何、なんで、なんで?」 真奈美が恐慌に陥ったのも無理はないことである。だって、それらは完全に彼女の知って いた彼女自身の、すばらしい肉体とは別物だったから。 ユウコは手鏡を差し出して、真奈美に持たせた。 「さあ、そしてこれが今のあなたの顔なのよ」 おそるおそる視界のうちにずらしていく鏡面には、今まで見たことのない中年女性の緩ん だ顔が映っていた。そしてわずかに、そこに自分の顔の名残りがあることが認められた。 「ひいっ!」 恐ろしさのあまり、真奈美は鏡を投げ出す。そして、それらが本当ではないことだと願っ て頬に沿わせる指先に期待をこめていた。 しかし、それはむなしくかなわないことだった。 彼女の手に触れた頬には指先に余るほどの弛みを生じていて、それらが顎の側面部にまで おちこんでしまっている。顎にしても同様で、首筋にまでも脂肪は付着してしまっていた。 対して眼窩はくぼみ落ち、眉と目の間にはかさかさとした嫌な感触があった。 「これは違うわ、これ……こんなおばさん私じゃない!」 自らにおこった変貌を信じられずに大きくかぶりを振る真奈美。 「そうね、わかっているわ。私のところにあなたが運ばれてきたとき、あなたの姿はとって も素敵な女の子だったもの。とてもスマートで、胸も大きくて、そして顔もとっても端整で 健康的な美人だったもの」 慰めるようにユウコは真奈美の背中を抱きしめる。 「だけどね、あのクラゲの毒は遅効性でじわじわと身体の形質を変異させてしまうのよ、あ なたはみるみるうちにその姿を歪めていって、そしてそうなってしまったわけなの」 「いや、そんなの。戻して、はやく戻してよお」 涙をこんこんと湧かせながらユウコの手にしがみつく真奈美。しかし、ユウコは首を横に 振る。 「それは……すぐにはできないことよ。それこそ何年もかけてゆっくりと治療していくしか ないわ」 「……何年もかけて、なんて、そんな」 今の真奈美の姿はほとんど眼前のユウコと変わらないほどの年代に見える。これから先の 青春をこの姿で生きていけと宣告されるのはもはや死刑宣告と大差ない。 「大丈夫よ、きちんと食事を節制して、運動して、それからコラーゲンやヒアルロン酸注射 なんかを定期的に受けるようにしていけば、元に戻るとまではいかなくても、きっとそれに 近いレベルにまでは回復するはずよ。すぐにとは言えないけど、いつか、また」 真奈美にとって、自らの容姿は唯一にして最大のステータスだった。大多数の男子を魅了 しながら、大多数の女子に羨望の念を植え付けるしなやかな肢体と整った顔と。 勉強にも運動にも才能がない彼女にとって、それだけが彼女の拠り所だったのだ。 しかし、今、彼女の明るい栗色のロングヘアーの下にある顔は、紛れもない中年のもので ある。身体もまた、見苦しいとまでは言わなくとも魅力的とはお世辞にも言えないほどに、 ダウングレードしてしまっていた。 「……私、いやよう、いやだよう」 すんすんとすすり泣く真奈美をきゅっと抱き寄せて、ユウコはしばらくの間、彼女が泣き 疲れて眠るまでの間を支えてやっていた。 「大丈夫よ、ホントにおばさんの私なんかと違って真奈美ちゃんは若いんだもの。新陳代謝 がきちんと働けば、きっとまた、魅力的な姿に戻れるわよ」 小さく震える背中をぱんぱん、と軽く叩いてやりながら、ユウコは何度も何度も励ましの 言葉をかけ続けてやったのだった。 「昨日は本当にすみませんでした」 ようやく回復して帰り支度が終わった段階でようやく真奈美はユウコに迷惑をかけ続けて いたことに気付き、そして謝罪をしていた。しかし、そんなことは構わない、という様子で ユウコも手をぱたぱたと振る。 「いいのよ、あんな辛いことがあったんですもん。誰だって取り乱すのが普通よ」 真奈美は、ユウコからブラウスと丈の長いスカートを借りて着衣していた。元着ていたも のはサイズがあわないということもあったが、それ以上に今の姿を他者の人目に触れさせた くないという理由でそれらを譲り受けていたのだった。その上からつばの広い帽子でもって 完全防護の格好だった。 「ん、大丈夫よ。あなたが思っているほどその格好も悪くないわよ」 ユウコの言葉にお世辞はなかった。その感情を受け取って、ようやく、真奈美の顔にも明 るい表情が戻ってきていた。 「私ですね、これからきちんと勉強して大学に行こうと思うんです」 「んん、そうなの?」 「ええ、ちゃんと勉強して内面を磨いて、それから……この外側もそれまでになんとかして」 くっ、と暗い感情を飲み込んで、 「ちゃんとした美人になろうと思うんです」 そう決意した真奈美の目元には、細かな皺がいくつも浮かんではいたけれども、それでも 彼女の表情には将来今まで以上にいい女になれるだけの片鱗がありありと浮き出ていた。 わずかに揺れ動く下腹の弛みや、内股に擦れる違和感を感じながらも、真奈美は背を伸ば して歩きだしていた。 日差しを纏った真奈美のその眩しさに少しだけ目を伏せながら、ユウコは去りゆく真奈美 にずっと手を振っていた。 舞台はその日の深夜、ユウコの診療所兼一人暮らしの海の家でのことだった。 ユウコはその日の残った仕事を全て片付けると、戸に『しばらく休業します』の札を掛け 付けて、そして奥へと戻っていった。 今かかりつけている患者の全員に、他の医院への紹介も済ませていた。もう、彼女を縛る ものは何もない。 彼女は上下を脱ぎ捨ててバスタオル一枚だけの姿になってシャワー室へとゆっくりと歩い ていく。手には黒い何かの布切れと、コーヒー缶くらいの小さなプラスチックケースに入っ た何かの液体が握られていた。 シャワー室の片隅に置かれている潮干狩りなどで使う程度の小さなバケツの蓋をユウコは 外す。そして、その中に入っているわずかに発光している半透明の生物に視線を落とした。 「偽善……夜光……エボシかぁ、我ながら安直な名前を付けたものね」 桃色に輝きながらひしめきあうそれは、間違いなく真奈美を襲ったクラゲだった。それが どうしてここにあるのかは、仕掛けた本人であるユウコのみが知りうるところである。 苦笑しながらユウコはそこに手にしたケースから薬剤を垂らしていく。 するとクラゲはじゅうっ、と音を立てて溶解していき、どろどろになってゲル状のピンク の液体になってしまっていた。 クラゲはもともと不思議な生命体であるが、その中でもひときわ特異なカツオノエボシと 同様の機構的生命体であるこのクラゲは、ユウコの研究により生み出された産物である。 「……それにしても、はあ、真奈美ちゃんくらいなら、まだマシな方じゃないかな」 手にした布切れとバスタオルとを脱衣場に投げ出したユウコは、姿見に映る自らにこぼし ていた。 「齢取ってるだけじゃないものね、これって」 下腹の弛みは掴めるほどにまで肥大しており、段になることもなく大きく前方にせり出し ている。彼女は別に不摂生というわけではなかったが、もともとが太りやすい体質だったの だ。もちろん、首筋も足も尻も同様に肥満していて中年女性の悲哀を物語っていた。 「……若い頃から、ずっとこうだったもんね。そりゃあ、彼氏の一人もできやしないか」 寂しそうに呟く彼女はもちろん独り身であった。のみならず四十半ばにして生娘だった。 恋愛はもとより見合いにすら上手くいかないこと続きで、詐欺まがいの被害にあったこと さえもある。ユウコはずっとそれらを飲み込んで一人でずっと過ごしてきたのである。 「だから……いいわよね、少しくらい幸せをわけてもらっても」 視線に暗い影をおとしながら呟く彼女の手はバケツにかけられていた。 ユウコはゆっくりとそれを持ち上げ、そして内容されているどろどろの液体を呷るように 飲みはじめた。 ぐぷぐぷっ、とおよそ四リットルほどもあるバケツの中身はユウコの喉へと流し込まれて いく。途中、苦しさのあまりにわずかに吐き戻すことはあってもその気色悪さを押し込めて 涙をにじませながらも、さらにユウコはそれをおのれの中へと流し込む。 口の端からこぼれ出した液体をユウコは左手で自らの首筋に、頬に、乳房にローションの ように塗りたくっていく。すると、それらは全て、砂漠の砂に吸われる水のように、肌の内 へと吸収されていくのだった。 はあはあ、と喘ぎ声を漏らしながら、ユウコは嘔吐感と格闘した。今、これらを吐き出し てしまえば全ての計画が水泡に帰してしまうのだ。顔色を紫に変色させながらも、彼女は手 で口を押さえつけて、必死に口の中に残ったもの全てを胃の腑へと留めようと奮戦した。 ついに、ユウコがそれら全ての障害にうちかったとき、彼女の身には大きな異変がおこっ ていた。 まず、全身から吹きあがるように蒸気が立ちこめて、その次の瞬間には肌の表面に、強い 臭みを伴った、黄褐色の堆肥のようなものをじわじわと生じさせていたのだった。 顔となく、腰となく、足となく、全身をびっしりと覆い隠すその泥は、しばらくの間、ず りずりと湧き出し続けていたが、七、八分ほどの時間を経て、その発生を終了させていた。 全身が泥人形のようになり、目も開けられないほどのユウコだったが、手探りでシャワー のバルブをひねり、熱い湯でそれらを洗い流していく。 と、厚い層となって彼女を覆っていた腐臭のする泥が清められていくユウコの姿には、劇 的な異変がおこっていたのである。どろどろと、まるで蝋人形が熱で溶けていくような変化 の中で、彼女の姿は細く引き締まったものに変化していたのであった。 「ん……ふ、んふふふふふ、やったわぁ」 肌には以前とは比べ物にならないほどのハリと潤いが戻り、まるでハイティーンの輝きで あった。 肥満していた尻は半分ほどに縮小しながら上向きになり、果実のような形の良さに引き締 まっていた。 「この細いウエスト……大きな胸。そしてこの小顔、まさに計算通りかそれ以上ね」 アンダーバストの無用な脂肪が溶け失せた胸元には形良く張り出したバストが再形成され ウエストはぐっと引き締まり、コントラストが絶妙であった。そして、顔に付着していた余 分な弛み、皺、くぼみにてかりが消え失せて、彼女の顔は目鼻立ちのくっきりとした若い娘 のそれになっていた。 「ひい、ふう、みのよ、と……凄いわね、七頭身半もあるわ。やっぱり最近の若いコの身体 ってモデル並なのね」 鏡の前で細まった腰を軽くひねったり、半身に立って細くしなやかな足を組んでみたりと、 ユウコは新しく生まれ変わったおのれの身体を存分に堪能していた。 「うふふ、腰をひねってもお肉がつっかえないだなんて、なんて素敵なのかしら」 もう、読者の皆様にはお分かりだっただろう。かのクラゲが持っているものは強いショッ クと肉体を劣化させる毒だけではなく、相手の形質そのものを剥奪してしまう吸収能力なの だということを。 そして、それらを溶解し、飲み干すことによってユウコは、真奈美の備えていた若く美し い肉体の形質を自らの形質と置き換えてしまったのである。彼女の生来の形質は、今はもう 風呂場の排水から流れていき、今頃は下水を漂っていることだろう。 ユウコは脱衣所に投げ出してあった黒い布切れを手に取った。 「ふふふ、最近の若いコって大胆な水着を着るのね、なんだか恥ずかしいわ」 それは真奈美が忘れていった水着だった。いや、持って帰ったとしても、もはや今の彼女 の身体では着こなすことができないものだったので、故意に置いていったのかもしれない。 棚の上から安全カミソリを取り出して、腋下や下腹部の毛を剃り落とした後、ユウコは面 積の少ないその光沢のある黒い布切れをその起伏に富んだ肉体にまとわせる。 艶やかに輝くスパンコールで飾られた三角水着は彼女の肉体の隆起にあわせてぴったりと フィットしていた。あたかも、彼女が正当なこの水着の持ち主であるかのように。 「まあ、ぴったりね。じゃあ、仕方ないからコレ、貰っちゃいましょっ、と」 嬉々として水着の縁を何度も手でなぞるユウコ。彼女は今までの人生の中で一度として、 こんな水着を着たことも、買ったことも、そしてこんな水着を着る機会を与えられたことも なかったのだった。 「これなら……きっと、手に入れられるわ。愛だって、恋だって、きっと……人並みに…… いいえ、それ以上に……う、ううっ」 鏡の中に美しく佇む若々しいユウコの姿は、やがてその双眸から吹き出すように涙を流し ていた。 ひとしきりの昂奮の後、ユウコは自らを情けなく、そしてあさましく感じてしまったのだ った。何の罪もない少女のたった一度きりの青春を吸血鬼のように奪ってまで、若さや美し さを手に入れた自分自身のザマを、とても醜く感じてしまったのである。 もはや、ユウコは真奈美に謝ることさえもできなかった。それをする資格さえ無いものの ように感じられたのであった。 「……だけど、仕方ないじゃないの」 俯いていた顔を上げ、鏡の中の自分自身にユウコは言った。 「人は誰だって他人から何かを奪いながら生きていくものなんだからね!」 人生は究極のゼロサムゲームである。恋愛ならば誰かが笑う陰で誰かが泣き、競技の中で あれば勝利の栄冠を受ける一人の足元に数多の敗者が暗澹たる気に押しつぶされる。それは 人間として生まれついた全ての命に課せられた業なのである。 それを悟った瞬間に、ユウコの涙は涸れていた。もう、優柔な瞳はそこから消え失せて、 かわりに虚無を知識った深淵のように深く暗い輝きがそこには湛えられていた。 彼女が手に入れられた若さと美しさは、真奈美に語った新陳代謝の話の真逆で、そんなに 長期にわたって保持し続けられるものではなかった。せいぜいが、二、三年ほど。その後は またつまらない、取り柄のないただの肥満気味の中年女に戻ってしまうのだ。 それでもいい、とユウコは嗤った。 たとえ、一瞬の際にでも、花火のように大輪の花を打ち上げることがたった一度の人生の うちにあるのならば、もう、何も悔いはないのだ、と。 一度でも、どんな類いのものであっても、愛を、愛情を己の空虚な身に注いでもらえるの ならば、私はもう他に何もいらないのだ、と。 黒い水着のその上から引っ詰めたスカートと持っている中では一番派手なデザインの白い チュニックだけを羽織り、よそいきのサンダルをつっかけて、安物のポーチを掴み、ユウコ はふらふらと夢遊病者のような足取りで繁華街のネオンの輝きだけを目印に歩き出した。 その後の彼女の消息については、これはもう、この話の中では語るだけの価値もないこと である。 海岸沿い、誘蛾灯に惹かれる虫たちがバチっバチっと小さくかわいた音を時折立てる他に は、ただ波音が湿った響きを持つ韻律を、絶えず刻み続けるだけだった。 おわり
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/149.html
569 :名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 18 54 56 ID d3GE0t27 とりあえず導入部だけ出来たので上げときます。まだ作品とは言い難いので タイトルはないです。お目汚し失礼します。 「ふっ・・・くっ・・ああぁ・・・」 人通りの少ない通りのさらにその裏路地で、暗がりの中一人の女性―外見から20代前半くらいだろうか―が倒れこむようにして悶えていた。そしてその横でもう一つのいやにニヤついた顔がその様子を伺う。 「ふふっ・・・これで欲しかったパーツは揃った・・・あなたにもう用はないからしばらくそこで楽しんでてね。」 その人影は冷たくそう言い残すと煙のように消え去った。 「ま・・待って!」 倒れていた女性が先ほどまでの気配が消えていたのに気付き、そのあとを追うまいと必死に立ち上がろうとする。 「・・・キャッ!!」 しかし体を起こした途端に崩れおちてしまう。何事かと自身の下半身を見てその顔を驚愕の色に染め上げる。 「イ・・イヤァァァァァッ!!」 彼女が悲鳴を上げた理由・・・それは人間のものとは思えないほど無機質な硬さを持ち、電灯の明かりを浴び光沢を帯びているマネキンのような脚―それが自分の下半身であることに気付いたせいであった。 「・・・というのが一般的に語られてる都市伝説ね。」 とある高校の昼休み。活発そうなショートカットの女子生徒が目の前に座る友人二人に得意げな顔で語る。 「・・・ふーん。マイもそういうオカルトチックな話が好きだったとはねぇ。」 正面に座る友人の一人がそれを胡散臭そうな目でみる。 「えーっ、ユキコだってこういうの好きだったんじゃないのぉ?」 とっておきのネタが思いの外不評だったためか、マイが不満の声を漏らす。 「さすがに高校生にもなると・・・ねぇ?サヤカ。」 ユキコが隣に座っている肩まである長髪の女子に同意の声を求める。 「えっ?う・・・うん・・そうだね」 まるで聞いてなかった、という風な表情を見せるサヤカにあきれる二人。 「・・・まぁサヤカは放っておいて、この話のどこが今までと違うの?化け物に襲われる 類の話だったらよくあるじゃない。」 ユキコがさもどうでもいい、といった感じでマイに疑問を投げかける。するとそれを待ってましたと言わんばかりのしたり顔でマイがそれに答える。 「ふっふーん。確かに今の話だけだとわからないかもね。でもさ、実はこの話・・・最近起きてるあの事件のことらしいんだよね。」 マイの言うあの事件とはひと月ほど前からこの街で起きている連続婦女暴行事件のことである。それほど大きくないこの町は治安も悪くなかったため、 こういった事件が起こるというのは初めてであった。そのため警察も躍起になって捜査を行ってはいるもの犯人はまだ特定できていない。 「あの事件って・・・被害にあった人がみんな錯乱状態になっていて会話もままならないって話じゃなかった?それなのにそんな詳しい状況がどうしてわかるのよ?」 ユキコが聞くとサヤカもそれに合わせるようにして疑問をつぶやく。 「確かにそうだよね。それにそのはなしをどうしてマイちゃんが知ってるの?」 矛盾点を二か所同時に突かれても動じる気配がなく、逆に堂々とした様子のマイを二人はいぶかしむ。そんな二人をよそにマイがその口を開く。 「その「スジ」の知り合いから聞いた話だと今の話はその事件の被害者が警察にその時の状況を語ったのがそのまま一人歩きして都市伝説になったんだって。 つまり・・・この町には人を襲って体を奪っていく正体不明の「何か」がいるってことなんだよ!」 なぜか少し嬉しそうな様子のマイに面食らった様子の二人が顔を見合わせる。そしてユキコがマイに向き直りマイに言う。 「・・・マイのオカルト好きが悪化したってことはわかったわ。」 まるでとりつくしまもない言われようにマイは肩を落とす。 「とりあえずそろそろお昼休みも終わっちゃうから早く食べよ?」 サヤカがそう言ったのをきっかけにマイが教室を見渡すと確かに教室にいる人数が減っている。おそらく次の授業の教室に移動しているのだろう。 事実、マイの次の授業は体育だ。早めに行かなければ着替える時間がない。 「そういえば次の時間体育だったからもう行かないとちょっとマズいかな。それじゃ、またねぇ。」 まだ少し残っている弁当を袋にしまいつつ教室をあとにするマイを見送ると、二人は自分の弁当の残りを口に運びその日の昼休みを終えた。 陽も沈み、あたりを暗闇がすっかり覆い尽くしてしまった頃、マイは部活の友人らと別れ一人家路についていた。 「今日は結構遅くなっちゃたかな。まぁ予選も近いし、みんな気合い入ってるからしょうがないか。私もタイムをもうちょっと縮めたいしね。」 そうつぶやくとマイは水着が入ったエナメルバックを背負い直し、歩を早めた。 マイが今着ているのは学生服ではなく動きやすさを重視した一般的なジャージ姿だ。半ズボンの先から見えるその脚には無駄な脂肪はほとんどついておらず、 競泳をやっている人間特有のなめらかな線を描いている。 自宅へと帰る途中、不意にある考えがマイの中に浮かんできた。 (そう言えば今日の昼休みのあの話、いまいちウケが悪かったなぁ。せっかくから帰りがてらちょっと現場検証とやらをやってみますか) マイがしようとしていることは、この時間帯に加えて犯人が捕まっていないことを考えると明らかに危険なことではあるのだが、このときはその万が一を考慮することよりも、 なにかしらの収穫を得て、あの二人にそれを見せつけて少しでも自分の話に興味を持ってもらいたいという気持ちのほうが強かった。 「たしかこのあたりだったよね・・・」 あたりは先ほどよりも一層闇が濃くなり、足元も注意しなければつまずいてしまいそうな暗さだ。道端の街頭も点いていることには点いているが、 中には切れかかっているものもあり、明かりとしてはいささか心許ない。まいはポケットの中にしまっていた携帯電話を取り出し、現在の時刻を確認する。 液晶画面の右上の時計を確認すると八時半を少し過ぎたところであることをマイに示していた。 「・・・まぁお母さんには部活帰りに友達と寄り道してたって言えばいいか。どうせそんなに遅くなるわけでもないし。」 家に帰った時の言い訳を考えつつ、マイは目的の場所を目指し、その歩みを今よりも濃密な、さらなる暗闇の中へと向けた。 何度か迷いそうになりながらもあれからしばらく歩き、なんとか目的の場所にマイはたどりついた。 一歩足を踏み入れたそこは事件があった裏路地である。あたりに人の気配はなく、静寂がその場を支配していた。 そこは、一見すると特に何もないように感じられた。昼間とは違い夜特有のうまく言い表すことのできない不気味な雰囲気があたりに漂っていたが、ただそれだけだった。 化け物の存在を裏付ける証拠はおろか、この場で事件があったことすらも言われなければわからないほどにごく普通の場所であった。 (まぁ、事件に関するようなものは全部警察の人が持ってっちゃてるだろうってのはわかってたんだけどね) ここに来るまでにそれは分かっていたはずだ、とマイは自分に言い聞かせるが、それでもせっかくここまで来たのだからもう少し何かないか探してみようと思いあたりの探索を始めた。 そして、それから時を置かずしてそれは見つかった。 (なにあれ?) 一見するとそれは何かの木材か何かに見えた。暗がりの中、ごみに埋もれたそれはマイの今いる位置からははっきりと見えなかったが、それでも興味を引くには十分だった。 そしてその正体を特定しようと少し近づいたところで彼女は自分のとった行動を後悔した。 (!?) それはまさしく人の腕だった。黒いビニールの中から突き出しているそれは気味の悪い肉のオブジェとしてそこに存在していた。 (な・・なんで!?) 一瞬パニックに陥りかけたマイであったが一つおかしいことに気がついた。 (よく考えたら人の腕なんかがここに落ちてたら警察の人が必ず気づいてるはず。あれはマネキンか何かの腕に違いない!!。っていうかそうに決まってる!!) 一度冷静さを取り戻すと今度はじっくりとそれを観察した。よくみると肘や手首の部分につなぎ目のようなものが見てとれた。それだけでも自分が見たものは人形だったと容易に判断できた。 (なぁんだ、やっぱりただの人形じゃん。) 一度張りつめた緊張が解けるとマイは心の平静を取り戻した。 所詮はこの程度のものしか見つけられないのだということを改めて感じたマイは収穫もこれ以上は望めないと判断し、足早に立ち去ろうとした。その瞬間、 「ちょうだい・・・」 背後から女の声が聞こえた。 「えっ?」 予期せぬところから不意に声が聞こえたため慌てて周囲に目を向ける。しかし、あたりを見渡しても先ほどと変わらぬ景色があるばかりで人影すら見当たらない。 (空耳かな・・・?) そう結論付けマイが前を向いたその時、 「ちょうだぁい・・・」 目の前に薄気味の悪い笑みを張り付けた女が薄暗い通路を塞ぐようにして立っていた。 「ひっ・・・!!うわっ!!」 マイが振り向きその姿を認めた途端にその女は覆いかぶさるようにしてマイを押し倒した。 「な・・な・・・」 安心した直後の降ってわいた災難にマイは戸惑った。 (だ・・誰?っていうか何なのこれ!?) マイが状況を飲み込めていないのを尻目に謎の女は体をさらにマイに摺り寄せてくる。 そしてついに・・・ 「んっ・・・」 女の唇がマイの口を塞いだ。さらにその舌をマイの口内へと侵入させる。女の唾液とマイの唾液がお互いの口の中で混ざりあい、ピチャピチャ、ネチャネチャとした卑猥なコーラスを奏でる。 その味が舌を通して感じられ、マイに不快感とともに恐怖を植え付けた。 「ンンンー!!!」 声は出せなくとも拒絶の意を女に伝えるべく叫んでみたが一向にやめる気配がない。それどころか己の肢体でしめつけるかのごとく絡みついてくる始末だ。 身をよじって逃げようとしても、その細腕からは考えられないほどの力で抑えつけられている。どうあっても逃げ出すことは不可能だ。もはや、この状況下でマイは完全に女のなすがままになっていた。 ―――ズッ・・・ズブッ・・・グッ・・・ 「んあっ!!・・・や・・・やめ・・・」 ついに女はマイの大事な部分――秘所にまでその手を伸ばし、舐めまわすようにして触ってくる。 (あ・・・あれ?) そうしているうちに少しずつ意識が朦朧としてきた。ともすると自分がどんな体勢になっているかも分からなくなってくる。まるで夢の中を彷徨っているような、 「自分」という存在がだんだんと薄れていくような不思議な感覚に襲われ始めた。 (も・・・もういや・・・誰か助けて・・・) このまま自分はどうなってしまうのか?ひょっとしてこの場で殺されてしまうのではないか?そういった最悪の未来を頭に描き始めていたが、その思考は唐突に中断させられた。 「うふふ・・・いいわねぇ・・・これなら使えそう・・・」 そうつぶやくと女はマイの体から離れ、そのまま起き上がった。このときをもってようやくマイの体は解放された。 (や・・・やっと終わった・・・の?) ようやく体の自由を取り戻したマイはひたすら嬲られ霞がかった頭をなんとか働かせて周囲を確認する。 あの女は何やら自分の腕のあたりをしきりにいじくりまわしている。 (今のうちに早く逃げなきゃ!!) そう思ったマイは急いで起き上がり逃げ出そうとした、が、なぜか両腕はピクリとも動かず、力の抜けたまま肩から垂れ下がったままだった。 試しにもう一度意識をその部分に集中させて動かそうとしてみるも結果はかわらなかった。 それどころか地面に触れているはずなのにその感触すら伝わってこない。 (あの女・・・よっぽど強く押さえつけてたのね・・・) 先ほどの尋常でない力で締め付けられていたことを思い出す。おそらく腕がおかしくなってしまったのは痺れているせいだと判断したマイは腕を使わずに起き上がろうとした。 しかし、 (!?) もはやそれは異常とも呼べる事態だった。足の先から太もも、さらには腹筋にすら力を入れることが出来なくなってしまっていた。 これは血が通わなくなっていたために痺れたなどというレベルを超えてしまっている。 (い・・・一体あの女に何されたっていうの!?) 「心配しなくてもいいわ」 マイが体の不調と悪戦苦闘している間にいつの間にかあの女がマイの横たわっているそばまで歩み寄ってきていた。 「どうせ今から付けかえさせてもらうから。大丈夫、神経をマヒさせているから痛くもないしすぐに終わるから。」 (どういうこと?付けかえる!?) 相変わらずこの女の話すことは理解できないが、何か自分にしてくるということは確かなようだと理解したマイは這ってでもなんとか逃げ出そうとしたが やはり体はマイの意思を拒絶しているかのように言うことを聞いてくれない。 「だからマヒさせてるって言ったのに・・・まぁいいわ。早く私にその「血と肉」をちょうだい・・・。」 そういうと女は相変わらず自由の戻っていないマイに近づくと先ほどとは打って変わって優しい手つきでマイをうつぶせにした。 「な・・・何のつもり・・・?まだいじり足りないっての・・・?」 「ふふ・・・それはもういいわ・・・。今は黙って見てなさい。」 先ほどと同じようにマイの体に重なってくる女。特に変わった様子は見られない。しかし、女の体が上半身に触れた瞬間―――――ゆっくりとマイの体に女が沈みこみ始めた。
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/276.html
そういえば、「作品一覧」って、全然更新されてませんね。 -- (名無しさん) 2017-04-07 03 30 31
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/229.html
424 名無しさん@ピンキー [sage] 2013/02/06(水) 02 46 52.55 ID gCJtUhz4 Be コネタ 闇質屋 天野ゆう子編 そこはどんなものでも買取、そして売ってくれると質屋。 記憶と記録の売り買い。 身体の売り買い。 臓器の売り買い。 お金が必要なプロ野球選手がゴールデングラブ賞を質屋に入れ、1000万をもらうケースがある。 だが、一ヶ月以内に返せなければそれは売りに出される。 お客様が買ったらもうその記憶は帰ってこない。 他にも年間ミリオンの歌手が来て、自分の喉を売りにきたケースがある。買取額は2億だった。 だが、幸いにも一ヶ月経つ前に2億もってきてことなきことを得たそうだ。 そんな闇質屋にある一人の女性が訪れる。 公立の高校に通う普通の女子生徒、天野ゆう子。 見た目はどこぞのご令嬢と見まちがうかのような、腰まで長く整った綺麗な黒髪をしている 「あ……あの、すみませーん!」 声もとても美しく、どのくらいかというと彼女が発音する英語は先生よりもとても滑らかなのだ。 身体的な所も、胸もそこそこ大きく友人からはよく「メロンを胸にいれるな」と直揉みされるほど 腰はくびれて、お尻もキュッと引き締まっている。 ちゃんとした部活動はしてなく、片親で妹が二人いて家系が苦しく学校からアルバイトの許可をもらって スーパーでアルバイトをして家系を助けている。 アルバイトをしているからって成績は悪くなくいつも学年でトップ3に入っている。 そんな、天野ゆう子がなぜ、闇質屋に来ることになったのかは、 もう一人の優子、天王寺優子のせいだった。 「あら~私の大切な服に染み付いちゃったわ~。」 それはゆう子がたいして親しくない天王寺の誕生日パーティーに呼ばれた日に服にジュースをかけてしまったのが原因だった。 だが、それは天王寺の悪巧みだった。 そして、彼女は自分の肉体と記録や記憶を少しずつ質屋に売ることとなるのだった。 「あら~天野ゆう子さん、最近どうしたのかしら? テストの成績落ちちゃって? 進級できるのかしら? その頭で?」 今の彼女は小学校レベルの問題しか解くことができない。漢字の読み書きも。 彼女は中学校と高校の授業の記憶を売ってしまったのだ。 それを知ってるのは闇質屋を教えた天王寺だけだった。 そして、天王寺は多額の金でゆう子の記憶を即買いしたのだ。 本来ならアルバイト代が出たら買い戻そうとおもっていたのだが。 買い取り金額の倍の料金を支払えば即買いができるシステムがあることを天王寺はあえて教えなかったのだ。 ゆう子は自分の記憶が買い戻せると思っているのだが…… 『天野ゆう子あんたの全てを奪ってあげるわね。』 天野ゆう子編 完
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/195.html
306 名無しさん@ピンキー [sage] 2011/10/18(火) 22 23 18.05 ID xBifUh49 Be 【おばあちゃんの日】 (さて、これからどうしようかな…) 一番最初の目的は遂げたものの、他にも、行ってみようかと考えていた場所が何ヶ所か。 しかし、先ほど起こったことを思い出すと、二の足を踏んでしまうのも事実。 (でも、このまま帰るのもちょっと勿体ないなあ…一番近くの場所にいってみて…途中で何かあったらそこで帰ればいいか…) ここにきてようやくお年寄りの身体+着物姿にも慣れてきたのか、多少歩きやすくなってきた気もする。 (これなら問題ないかな?) そんなことを考えながら、横の路地に足を向け、本通りから外れる。 裏通りは、一般の家屋の中に紛れて、看板こそでているものの、実際に営業しているかどうかもはっきりしない店がちらほらと… そんな中で、麻由美が向かったのは、風雨にさらされて、どことなく曇りガラスっぽくなった窓を通りに向けた店。 やはり風雨にさらされた古ぼけた看板に喫茶店の文字がなければ、とても、そうとは見えない店だった。 明らかに立て付けが悪くなった扉に苦戦しつつもどうにか開けると、 「いらっしゃいませ。」 「あら、いらっしゃいませ。」 ハリのない、かなり年老いた声×2が麻由美を出迎えた。 かなり年月を経てくたびれた店舗で営業しているのは、それ以上に年月を経てくたびれた老夫婦という喫茶店。 建物も内装をどれだけの間改装どころか修繕したかも怪しいだけに、正直繁盛しているところは滅多にみないが、どのメニューも結構安いと言うことで、一部の学生達が学校帰りなどに利用することも多い店…麻由美もその一人だ。 もっとも、今日は休日ということで学生の姿はみられない…というか、学生が利用していないということで店内には老夫婦のみ…お客は、今入った麻由美のみという有様だった。
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/88.html
投稿日:2010/02/27(土) 自分が鈍くさいということは、自覚している。 喋る時はよくつっかえるし、頭をぶつけたり、たまに転ぶ。咄嗟の出来事に弱いのだ。 人見知りする性格だからそうなのか、そういうことが多いから人見知りなのかは、 よく分からない。 友達はいる。わたしは友達だと思っているし、向こうも友達として扱ってくれる。 だから、友達のはずた。 彼女たちは、よくわたしのことを天然だというが、これもよく分からない。そこまで 変ではないつもりだし、向こうがなんでもそういう風に受け取るから、そう見える のじゃないかと思う。でも、口にはしない。 そんな自分を変えたくないかと問われれば、当然『yes』だ。 「“わたしと性格を入れ替えませんか?”」 それは、とあるネット掲示板に書かれていた一文だった。 そこには、中学生くらいからよく出入りをしていた。わたしと同じように、自分を 変えたいと思う人間が集う場所。 色々な趣味や嗜好の人間がいて、どういう風に変わりたいのかを書けば、アドバイスをもらえる。 オフ会なんかもあるらしいけど、わたしはいかない。考える時間や、文を推敲できる 掲示板とは違って、リアルで知らない人間といきなり話せる自信がないからだ。 とはいえ、その書き込みがもし本当なら、初めて勇気を出してでも、食いつくべきかもしれない。 先ほど口にした文を一行目に、自分がどういった人間で、こういう性格に飽き飽き している。まったく別の人間になりたい。しかし、今の家族や友人を捨てるのはしたくない。 だから、性格だけ取り替えてくれる人はいないかと募っている。 それを読んだ他の住民(このスレッドにいつもいる人たち)は、単発のハンドルネームで わけのわからないことを言っている書き込み相手に、とても冷ややかな態度を見せていた。 その書き込みの底抜けの明るさと、その後の周りの態度の違いが、妙なおかしさを もたらしている。 確かに、信じられるような話ではないし、いつもの自分なら無視していただろう。 しかし、今日のわたしは、その書き込みにあった即席と思われるメールアドレスに、 気がついたらメッセージを送っていた。 好きな人ができた。同じ学校の、同じクラス。 そのことを相談したら、友人の一人がはあれこれ世話を焼いてくれたけど、わたしが いつも台無しにしてしまう。 彼女は笑って許してくれるが、内心苛立っているはずだ。もはや、彼といい仲に なれるかどうかよりも、そのことが心配だった。彼女に見切られるのは怖い。 来週、友人が彼を含めて数人のクラスメイトを誘って、遊びに行くことを企画 してくれた。わたしのためだ。 今度こそ、失敗はできない。 「ええ、まったく心配ないですよ。私の性格と合わないなら、別の人間を紹介 してもかまいませんし」 人の良さそうな笑顔で、彼女は入れ替わりの説明をしてくれた。 彼女は何度も入れ替わりを経験しているらしく、その驚くべき感想を聞かせてくれる。 「じゃあ、性格以外も入れ替えることが……?」 「ええ、私はだいたい経験しました。胸の大きさ、身長、視力、記憶、髪の色…… 面白いものでは、恋心なんか」 あれは本当に面白い経験だったと笑うその女性は、とても綺麗な人だった。身長は高く、 スレンダーな体つきをしている。髪はロングの黒。歳は二十代半ばくらいだろう。 彼女の名前は知らない。本名を名乗らなかったからだ。待ち合わせに来た彼女は、 ハンドルネームだった『月夜』だと自分のことを示した。 待ち合わせ場所から十数分歩いて、その間彼女が喋り通しだった。自分は相槌を 打つくらいしかできない。 でも、おかげで入れ替わりの概要は分かった。どういう原理なのかは彼女も知らない らしいが、月夜の知り合いである発明家が作った、妙な機械で行うらしい。 自分の命がかかっているかもしれないのに、妙なはないだろう。そう思ったが、 わたしは言わなかった。 「ねえ、高橋君のどこがいいの?」 そんなの自分でも分からない。でも、答えなければならない。友達なのだから。 「どこって……」 言葉に詰まるわたしを、にやにやとした笑顔で見てくる絵理。その顔が、ちょっと怖い。 「赤くなって、可愛いなあ、優衣は」 なっているのだろうか。でも、真に受けて聞いてもからかわれるだけだろう。 「もう、やめてよ」 すねたように言うと、彼女は笑って返してきた。笑ってくれたのなら、この答えは 正解だったのだろう。わたしは安堵した。 「どうも、神原です」 旧家然としたお屋敷に案内され、その家の奥にあった蔵の中に入ると、そこは 見た目とまるで違った。 色々な機械がおかれ、出てくるのは白衣に身を包んだ男。一見して怪しかった。 「性格の入れ替えですよね、どうぞ」 無駄なことは一切喋らないが、人の良さそうな笑顔を浮かべているため、愛想は 悪くない。でも、どこか軽薄だ。年の頃は、月夜と同じくらいだろう。 彼が示した先には、ある映画で見た転送装置のようなものがあった。不安がよぎる。 「大丈夫ですって。私が何度も経験しているんですから」 そんなわたしの肩に手を置いて、耳元で囁く月夜の声には、置かれた手と同様に、 有無を言わせない力があった。 「は、はぁ」 成り行きに任されるまま、わたしは機械の中に入った。 私の告白は、失敗した。 というより、失敗する以前にしなかった。でも、失敗するとわかってしなかった のだから、同じことだ。 遊びに出かけた帰り、私から結果を聞いた絵理とそのグループは、残念会を開いて くれた。私は、いつものわたしを装ってすべてを受け流した。 会がお開きになり、帰り道が同じ絵理と歩く。彼女はなにも疑っていない。 のん気にあくびをしている。なら、思い知らせてやらなくては。 「高橋君って、絵理のことが好きなんだって?」 帰り道の途中、人気のない道で、何気なく言ったその言葉に、彼女の体は凍った。 「それでみんなで賭けしたんだってね。どう、勝てた?」 信じられない。彼女の顔はそう言っていた。そんな絵理に向ける私の笑顔は、 先週見た月夜と同じはずだ。 人が良さそうなところも。裏に何かが潜んでいることも。 「……だから何よ。別に付き合ってるわけじゃないし、実際応援はしたでしょ」 「私の性格じゃあ、失敗するようなやり方ばかりでね」 ぐっと押し黙ってにらんでくる絵理。こんな女を、信じて感謝してきたなんて。 「それに、色々と私のこと笑ったりしてたみたいだけど」 「それはっ!」 あんたが鈍くさいから悪いのよ。表情がそう言っている――勝手なことを。 「なら、同じ思いをさせてあげる」 疑問符を浮かべる彼女の顔が、少しずつ、とろんとしたものに変わっていった。 彼女の意識が完全になくなる前に、私は懐から取り出した瓶を見せた。 「時間かかったけど、効果はすごいでしょ。私にいつももの取らせて、まったく 警戒しないんだものね」 その言葉が、最後まで彼女の耳に入ったかは疑問だった。 腕を組んでじっと待っていると、明かりが私と絵理を照らし出した。車だ。 「お、お待たせしました」 運転してきた女は、車から降りて、おどおどと言ってきた。確かに、これは他人をいらつかせる。 私はそんな内心を毛ほども見せずに、月夜に笑いかけた。 「じゃあ、お願いします。月夜さん」 「それで、高橋君には告白できたの?」 「ご、ごめん……ダメだった」 心底申し訳なさそうに謝る絵理に、私は笑いかける。 「大丈夫、大丈夫。高橋君は絵理のこと好きなんだし、きっと上手くいくよ」 ――ただし、彼が好きだったのは昔のお前だけどな。 そうとは知らずに、絵理ははにかんだ笑みを返してきた。 「うん、ありがとう、優衣ちゃん。わたし、あんなひどいことしたのに……」 「気にしないで。私がどんな気分だったか、絵理は十分、分かってくれたし。 私はもうそれでいいから」 そんな私の言葉に、絵理は泣きそうだった。笑い転げたくなるのを必死でこらえる。 「じゃあ、次はね――」 この作戦も、絶対に成功はしない。彼は、私と付き合っているのだから。 おまけ 「はぁ……先週は楽しかったのに」 ベッドの上でため息をつく彼に私はかちんときたが、言い返さずに後ろを向いた。 「すっごく初々しくて、可愛かったのになー……今は、なんか黒いし」 あとSっぽいし。ぶちぶち言う彼に、私はついに我慢の限界を迎えた。 今の私は、余裕がなくなると怒りっぽくて困る。 「はいはい、とっととあなた好みの性格探せばいいんでしょ」 これだから、生意気な小娘と入れ替わるのは、嫌だったのよ。
https://w.atwiki.jp/odchange/pages/150.html
//同名のページ「わたくしが貴女で、わたしがアナタ!? 」が存在するので、 //こちらは不要です。権限のある方、削除をお願いします。